提供するコーヒーの用途や顧客層によって、求められる全自動コーヒーマシンの機能や性能が変わってきます。例えば、オフィスでの利用であれば、短時間で多数の従業員にコーヒーを提供できる高速抽出が重要となります。一方、カフェや喫茶店の場合は、こだわりの豆を使ったバリエーション豊かなメニューを提供できる機能が必要とされます。
また、顧客層も考慮する必要があります。ビジネス客向けであれば、スピーディな提供が重視されますが、一般消費者向けの喫茶店やカフェの場合は、豊富なメニューバリエーションや、店の雰囲気づくりなどが重要になってきます。顧客の嗜好に合わせて、こだわりのコーヒー豆を使ったドリンクを提供できることが求められます。
1日の提供杯数の目安
業務用全自動コーヒーマシンの選定では、1日にどれくらいの杯数を提供したいかが重要なポイントとなります。提供杯数が多ければ多いほど、大型の高性能マシンが求められます。
一般的な目安は以下のとおりです。
◆1日の提供杯数の目安
- 50杯未満：小規模オフィスや店舗向けの小型マシン
- 50〜100杯：中規模オフィスや飲食店向けのミドルグレードマシン
- 100杯以上：大規模オフィスビルやホテル向けの大型・高性能マシン
提供杯数が多くなるほど、マシンの同時抽出能力や加熱・蒸気能力が高いものが求められます。したがって、より高価な大型マシンを選定する必要があります。
メニューのタイプ（ミルク入りか否か）
業務用全自動コーヒーマシンを選ぶ際には、提供したいメニューのタイプを最初に決める必要があります。大きく分けて、以下の2つの方向性があります。
◆ミルク入りメニューを提供する場合
- カフェラテ（エスプレッソ＋牛乳）
- 抹茶ラテ
- ココアなど
◆ミルク入りメニューを提供しない場合
ミルク入りメニューを提供する場合は、マシンにミルク泡立て機能が必要になります。一方でミルク入りメニューを提供しない場合は、ミルク保冷庫などが不要になり、コストを抑えられます。
このように、最初にメニューのタイプを決めることが、適切なマシンを選ぶうえで重要なポイントです。
店舗やオフィスで業務用全自動コーヒーマシンを選ぶ際は、その機能と性能を確認することが重要です。
全自動エスプレッソマシンか全自動コーヒーマシンか
全自動コーヒーメーカーは、豆を自動で挽いた後、抽出までの一連の工程が自動化されています。一方の全自動エスプレッソマシンは、さらに一歩進んで以下の工程すべてが自動化されています。
◆全自動エスプレッソマシンの自動化工程
このように、全自動エスプレッソマシンは使用後の手間が格段に省けるメリットがあります。また、エスプレッソ方式を採用しているため、1杯あたりの抽出時間が全自動コーヒーメーカーの約5分に対し、1分以内と非常に短くなっています。
さらに大きな違いとして、全自動エスプレッソマシンではミルクを使ったメニューの提供が可能です。代表的なミルクメニューとしては、カフェラテ、カプチーノ、ラテマキアートなどが挙げられます。
調理スピードと同時抽出能力
業務用全自動コーヒーマシンを選ぶ際の重要ポイントの一つが、調理スピードと同時抽出能力です。
特に朝の時間帯など、短時間にたくさんのコーヒーを提供する必要がある場合、高速な抽出スピードと複数杯の同時抽出能力が求められます。
例えば1杯あたりの抽出時間が30秒で、2杯同時抽出可能なマシンであれば、4杯目まで出すのに60秒しかかかりません。一方、同じ30秒抽出でも1杯ずつの単能力マシンだと4杯目には2分かかってしまいます。
| マシン |
抽出時間 |
同時抽出杯数 |
4杯目のできあがり時間 |
| A |
30秒 |
2杯 |
60秒 |
| B |
30秒 |
1杯 |
120秒 |
このように、想定する1日の提供杯数によって求められる調理スピードは変わってきます。忙しい時間帯の対応力を考慮し、適切な同時抽出能力のマシンを選ぶことが大切です。
清掃のしやすさ
業務用全自動コーヒーマシンの清掃は非常に重要です。マシンの内部に付着したコーヒー油分が雑菌の温床になるため、毎日の丁寧な手入れが求められます。
そこで清掃のしやすさが選定のポイントとなります。
具体的には、
- 分解が簡単で洗浄しやすい構造
- 自動洗浄機能の有無
- 洗浄用ブラシなどの専用ツールが付属しているか
などがチェックポイントです。
定期的な内部洗浄に加え、外観の清掃も怠らずに行いましょう。お客様に気持ちよくコーヒーを提供するためにも、清潔な環境づくりが大切です。
部品の交換用意
業務用コーヒーマシンは毎日使用するため、消耗部品の摩耗や故障が起こりやすくなりますので、部品の定期的な交換が必要不可欠です。メーカーに対して、事前に以下のような交換部品の用意があるかどうかを確認しましょう。
- 給水タンク
- ミルクフォーマー
- ブリューユニット
- 各種パッキン類
- その他消耗品一式
これらの交換費用は、メーカーや定期保守点検契約の内容によって異なります。
定期保守点検契約を結ぶことで、契約内容の範囲であれば消耗品交換や修理費用が無料となります。契約には業者によって異なりますがいくつかプランがあり、修理対応回数や定期点検回数が異なります。
マシンサイズと作業スペース
業務用のエスプレッソマシンは、サイズが大型のものが多くなります。マシン本体のサイズだけでなく、作業スペースも十分に確保する必要があります。
例えば、一般的な中型クラスのタンク式マシン（W600×D600×H550mm程度）の場合、以下のようなスペースが必要と言われています。
◆業務用エスプレッソマシン正面の作業スペース
・奥行き：1000mm以上、横幅：1200mm以上
◆業務用エスプレッソマシンの側面の作業スペース
・奥行き：600mm以上
設置場所の確保が難しい場合は、スリムタイプの小型マシン（W400×D500×H700mm程度）を選ぶのも一つの選択肢です。
ただし、機能面で制約が出る可能性もあるため、用途に合わせて検討する必要があります。
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